大河ドラマ館をはじめとした、伊豆の国市をブラブラしているとよく見掛けるこちらの無料の冊子。
(2024.2.18追記 韮山反射炉にも置いてありますよ!)
どうやら市が力をとても入れたようで、
正直、私も最初「北条義時って誰?」と思ったときにこれを読み、
「北条義時ってこんな人なんだぁ」
とよく分かったので、まだ手に取っていない方にはオススメです。
(浮かれて鎌倉殿の13人ネイルにしてみました笑)
ただこれを読むと、大河ドラマと展開がだいぶ違うことが分かります。
例えば、新垣結衣さん演じる八重姫。
大河ドラマでは義時の最初の妻になります。
ところがこちらの冊子、また伊豆の国市にある真珠院の言い伝えによりますと、
『頼朝が忘れられない八重姫は伊東から行くと、政子と結ばれたことを知り、ショックのあまりに自害してしまいます』
大河ドラマとは全く違う展開になっています。
私はこの冊子を読んでから大河ドラマを観たので、義時と結ばれた展開に大そう驚いてしまいました。
なぜ大河ドラマと伊豆の国市のストーリーがこんなにもちがうのでしょうか?
ここからは私の考えも入るので、「そうなんだー」という軽い気持ちで読んで頂けたらと思います。
約900年も前の事が分かるってすごい!
まず、約900年も前の事が分かることに驚きませんか?
写真や電気がない時代です。もちろん、誰もその時代を見たこともありません。笑
ではなぜその当時の事が分かるのかというと、発掘調査と残された書物です。
発掘調査で分かる
例えば北条家の屋敷があったと言われている場所から、発掘調査、土を掘り返します。
するとこんなふうに器などが出てきます。
専門家の人たちが
「これは鎌倉時代ではとても高価な素材でできた器だから、もしかしたら北条家は贅沢な暮らしをしていたのかもしれない」
と考えることができます。
またこんなふうにたくさんの穴が発見されたときは、
「当時はこんなふうに建物があったのではないか?」
と考えることができるそうです。
そのように考えることができる専門家の知識にも驚きますが、私たちに新たな発見を教えてワクワクさせてくれる発掘調査の現場の方にも頭が下がる思いです。
(発掘調査に一度参加して、大発見をしてみたいです)
書物で分かる
そして当時の様子が分かるもう一つの手がかりが書物です。
吾妻鏡
この吾妻鏡(あづまかがみ)
これは鎌倉時代に書かれた書物で、源頼朝の時代から6代将軍宗尊親王までの1180年から1266年までの出来事が書かれています。
1300年ごろの鎌倉時代後期に書かれたと言われています。
吾妻鏡は盛っているかも⁉︎
「なぁーんだ、これがあるなら鎌倉時代の事は全部分かるじゃん」
と思ったかもしれませんが、実はこの吾妻鏡、北条家の視点から書かれているので注意が必要です。
もっと言うと「北条家をよく見せる為に、盛っている(良く見せようとしている)かもしれない」という事です。
同じ時期にでた愚管抄
実は1220年と吾妻鏡とほぼ同時期に出ていて、同じく鎌倉時代の事が書かれている本が出ていました。
それが愚管抄(ぐかんしょう)です。
慈円というお坊さんが書いた本で、北条家とは関係のない人が書いています。
吾妻鏡と愚管抄、書かれていることがちがう?
なんとなく分かってきた方もいるかもしれませんが笑、
北条家から出している吾す妻鏡と、北条家が関係ない人が書いた愚管抄、同じ出来事なのに内容が違う部分が出てきてします。
例えば、源頼朝の息子で2代将軍の頼家。
彼の最期は違っていま
吾妻鏡→亡くなった事をサラっと書いて終わっている
愚管抄→悲惨な殺され方をしています
愚管抄では頼家は北条義時の部下に殺されたのではないかとあります。
身内が殺したとなると知られると北条家としてはまずいと思ったので、頼家の最期を簡潔に書いたのかもしれません。
またこの頼家、性格も書物によって書かれていることがバラバラです。
吾妻鏡→女性にだらしがない
愚管抄→立派な人物だと書かれている
頼家の真実も気になりますが、
「全然違うじゃーん」
とこれを初めて読んだ歴史の専門家のみなさんの戸惑いの声を想像してしまいます。笑
まだ解明されていない鎌倉時代
以上のことから、鎌倉時代は今でもよく分かっていない事が多いというのが本当のところだと思います。
「歴史は過去の事」と思われていますが、
— まゆ|伊豆の名物ガイド🍥 (@mayu_egawatei) 2022年6月16日
史料が出てきたとか、分析したら新しい解釈ができたなど、どんどん情報が更新されていくものなので、ニュースみたいにマメにチェックした方がいいと思います。
で、一番身近で歴史の最新情報をチェックできるのが郷土資料館にある資料館だよりだと思います! pic.twitter.com/qiAvsrgrnR
(もしかしたら、これから新事実が分かることがあると思います!)
なので、歴史の先生によっても解釈はまちまちな印象を感じます。
色々な説があり、真実が分かっていないので、どの説が間違えているということは現時点でできないのではないかと思います。
大河ドラマの楽しみ方
だからこそ、その面白さに脚本の三谷幸喜さんは感じたのではないかと思います。
一番最初に挙げた八重姫も色々な説があります。
真珠院に伝わるのは自害してしまう八重姫ですが、義時と結婚したのではないか?という説を持っている先生もいます。
繰り返しますが、どっちが間違えているとは現時点では言えず、どっちも正しいのです。
三谷さんは義時と結婚する運命の八重姫を描きたかったのではないかと、私は考えます。
鎌倉時代はパラレルワールド
そう考えると、大河ドラマや鎌倉時代をパラレルワールドと考えるのはどうでしょうか?
鎌倉時代は色んな説があるというのを逆手に取り、例えば大河ドラマの人生の八重姫を見たり、真珠院の八重姫の人生を見たり、はたまたどなたか先生が唱える説の八重姫の人生を見たり…同じ八重姫という人物のいくつかの人生を見てみる、パラレルワールドを楽しむ形で見てみるのはいかがでしょうか?
いくつかの人生を見ていくうちに「この説好きだな」といった、自分の好きな説を見つけてみるのも楽しいかもしれません。
鎌倉殿の13人は予想不可能!
この大河ドラマ、この展開を予想できた伊豆の国市民はなかなかいないのではないか?と思ってしまいます。
だからこそ、今までオチが分かっていた歴史物である大河ドラマも、今回は予測不能の展開が続きます。
大河ドラマ巡りをしに行こう!
こんなふうに知らないとよく分からなかったり、理解できずにいて、せっかく現地に来てももったいない事をしているかもしれません。
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