……このちがい分かりますか?
このちがいが分かると、みなさんが旅行先で「◯◯文化財」なんて看板を見たときに、「お!」となり、その場所をより楽しむことができますよ。
(写真は伊豆市の旧天城隧道の看板)
○○文化財とは?
今回の◯◯文化財。
文化財保護法と言います。
実はこれ種類がたくさんあるのですが…
今回はこの印の部分を説明します!
重要文化財とは?
文化財保護法という法律が1950年にできます。
文化庁のホームページを見て要約すると、「今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産」を守る為の法律です。
例えば国の重要文化財の江川邸。
1600年の関ヶ原の戦いの頃に建てられ伊豆半島で一番古い邸宅という事で、重要文化財になる条件はありますね!
これを例にとって説明します。
重要文化財とは?簡単に
重要文化財になる為には、証拠になるものをしっかりと文化庁に提出しなければなりません。
伊豆半島で一番古い邸宅ならばその証拠になる文書であったり、歴史だけではなく建築の専門家から「この建物が建築的にもどのように素晴らしいか」「建築の専門家から見てもこんな建物が残っているなんて奇跡だよ!」ということも時には提出します。
確かに「伊豆半島で一番古い!」なんて一番最初に言ってしまった者の勝ちになってしまいますよね。
なので、誰がどう見ても「伊豆半島で一番古い」「これは貴重だ!」という証拠を揃えます。
(県の有形文化財の依田邸もこのように建物の図をしっかりと専門家が書きます)
審査が通り、晴れて重要文化財になります。
「江川邸は伊豆半島で一番古い邸宅」と国がしっかりと認めてくれたわけです。
文化財ってどう見たらいいの?
私なりの見方ですが、もしみなさんが旅行先で「文化財」に指定されたモノや場所に行ったときに、なぜそれが指定されたのかを知ると、とてもそれを面白く見ることができます。
旅先でこの「文化財」をどう見ていいか分かんないときは、「なんで指定になれたのか?」から見ていくといいと思います。
国や県のお墨付きというわけです。
重要文化財に指定されると、建物の取り壊しをするどころか、工事などで国の許可なく建物の形を変えることができません。
国と相談してどのように工事を進めていくか決めていきます。
その代わりに工事の際の補助金が出たり、所有者は減税などのメリットがあります。
(2022年3月31日現在工事中の伊豆の国市の重要文化財の江川邸の工事も慎重に進められています)
県の有形文化財とのちがいってなぁに?
実は「県の有形文化財」はこの工事の決まりが重要文化財よりゆるくなります。
重要文化財より工事がしやすくなる為、有形文化財の建物で今でも飲食店やホテルとして使われています。
例えば松崎町の依田邸も大沢温泉ホテル時代に有形文化財になりました。
三島市にある飲食店の丸平さん。軒先に有形文化財のプレートが貼ってありますので見てみて下さい。
(県やその地域が重要だと認めた場所での食事なんて贅沢ですね!)
県よりも国の重要文化財のほうが大切なの?
なんて思っている人がいるかもしれません。
完全に間違えた考え方ではないですが、安易なランク付けという意味で捉えないほうがいいかと私は思います。
証拠の強さで決まる?
まず県の有形文化財の方が先ほど書いた文化庁に提出する証拠の審査が厳しくないです。
「やっぱり国の重要文化財のほうが大切なんだ」と思うかもしれませんが、
「貴重なモノって分かっているんだけど、国が認めるほどの動かぬ証拠がないなー…うーん」となってしまったときの救済案としの県の有形文化財と考えています。
今後、強い証拠が出て県の有形文化財から国の重要文化財になることもあります!
(旧天城隧道)
実際に旧天城隧道は1998年に県の有形文化財に指定され、2001年に国の重要文化財に指定されています。
重要文化財と国宝の違いは?
伊豆の国市•願成就院の仏像はなぜ国宝になったの?
さらに重要文化財の上にある「国宝」ももちろん貴重ではありますが、重要文化財のほうが貴重ではないということに、個人的には疑問があります。
例えば、願成就院(伊豆の国市)のとても有名な仏像の彫師の運慶の作品があるということで、国宝に指定されています。
(願成就院)
この仏像が国宝になれたのは、塔婆形銘札(とうばけいめいさつ)が仏像の中から出てきました。
これは北条時政が確かに運慶に作るように頼んだことがはっきり書いてあった為、本当に運慶が作ったという証拠で国宝になりました。
「運慶の作品ってそんなにすごいんだー」と思ってしまいますが、実は運慶の作品全てが国宝に指定されているわけではありません。
やはり中には「運慶の作品と呼ぶには証拠が弱い」という理由で重要文化財、県の有形文化財に留まっているものもあります。
今後の専門家の方による研究に期待したいと思います。
歴史があるものでも文化財に指定されていないものはたくさんある!
ここまで読んでみて、国宝、重要文化財、県の有形文化財になる基準が分かったかと思います。
最後に旧三津坂隧道の事を書かせて下さい。
ここは伊豆半島で一番古いトンネルと呼ばれ、重要文化財の旧天城隧道よりなんと古いんです。
しかし、文化財の指定を一切受けていません。
つまりこれは今から誰かが壊そうと思えば、簡単な手続きで壊すことができてしまいます。
伊豆半島で一番古いトンネルは世界でひとつです。
それが今にも壊されてもおかしくない状況にみなさんはどう思いますか?
私の考えですが、実は全国にこういった物はたくさんあります。
◯◯文化財が分かると旅が楽しくなる。
(松崎町の依田邸にあるプレート)
ここまでお読み頂きありがとうございました。
「文化財」という文字に今日から少しでも興味を持って頂けたらうれしいです。
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ここは2022年の大河ドラマでも出てきました。
で、実は大河ドラマ見ていなかったみなさんにこっそり贈ります。
これを読めばだいたい話題に追いつく?
また今回の願成就院、仏像の見方もガイドしています!
他の伊豆の場所もガイドしていますので、伊豆に遊びに来た際はぜひ私に会いに来て下さい♬